空調の効いた屋内と気温差の大きい屋外に出入りしたり、季節の変わり目で一日の寒暖差が大きくなると、鼻がムズムズしたり、くしゃみが止まらなくなるなどの症状があらわれることがあります。その症状は一般的に「寒暖差アレルギー」と呼ばれます。
寒暖差アレルギーは実はアレルギーじゃない?!
一般に寒暖差アレルギーと呼ばれますが、アレルギーの原因となるアレルゲンによるものではないため、実は正確にはアレルギーではありません。
医学的には血管運動性鼻炎といい、急激な温度変化が生じると血管収縮が状況に対応しきれず、自律神経が乱れることで、体調不良が起こると考えられています。
また、不規則な生活やストレスも自律神経が乱れる原因となる可能性があります。
どのようなときに生じるか
季節の変わり目で朝晩と日中の気温差が大きいときや、室温と外気温の差が大きい部屋を出入りするときに、7℃以上の気温差があると生じるといわれています。
また、不規則な生活やストレスも自律神経が乱れる原因となる可能性があります。
自律神経と寒暖差アレルギー
自律神経は、主に昼間に活発になる交感神経と、夜間に安静時に活発になる副交感神経との二種類があります。
交感神経は血管を収縮し、副交感神経は血管を拡張し・血圧の低下・心拍数の減少にはたらき、この二つの神経が内臓や血管の働きをコントロールしています。
鼻の粘膜にある血管の収縮・拡張も自律神経によってバランスが保たれていますが、寒暖差が大きいと鼻の粘膜の血管の収縮・拡張が環境に対応できなくなり、寒暖差アレルギーの症状があらわれます。
寒暖差アレルギーの症状
寒暖差アレルギーでは以下の症状があらわれることがあります。
- 鼻水・鼻づまり
- くしゃみ
- せき
- 頭痛
- 蕁麻疹
- 食欲減退
寒暖差アレルギーの対処法
体感する気温差を調整する
体温調整をできる衣類を身に着けて気温が高い時間帯や場所との気温差を小さくします。カーディガンやひざ掛けなどでこまめな体温調整を行うことも効果的です。
太い血管が通っている首まわりはスカーフやマフラーを、手首・足首は手袋や靴下でしっかりと守ることが重要です。
マスクをする
マスクをつけることで冷気が鼻・のどの粘膜に触れることを防ぐことができます。
40℃前後のお風呂に入浴する
適度な温度のお風呂にゆっくりと入浴することは自律神経を整えるのに有効です。
適度な運動を行う
筋肉をつけることで基礎代謝が上がり、抵抗力がつきます。
また、適度な運動やストレッチによって体の緊張をほぐし、自律神経のバランスを整えることも重要です。
規則的な生活・ストレスとためない
不規則な生活やストレスは自律神経のバランスが乱れる原因となります。十分な睡眠をとる、ストレスをためないようにするなどを心掛けましょう。
食生活を見直す
栄養バランスが取れた食事を摂ることはもちろん、しょうがやにんにくなど、血行を促進する効果がある食材を摂る事も好ましいです。
寒暖差アレルギーの治療
寒暖差アレルギーは、風邪やアレルギー性鼻炎のように、原因となるウイルスやアレルゲンによる発症ではないため、症状を和らげる対処療法が中心となります。症状がひどい場合や長引く場合は耳鼻咽喉科を受診しましょう。
抗ヒスタミン薬
アレルギー性鼻炎に処方される内服薬と同じものです。自律神経の働きを整えます。
ステロイド点鼻薬
鼻の炎症を抑えます。決められた用法・用量通りに定期的に使用することが大切です。
下鼻甲介粘膜レーザー焼灼術
いわゆる「レーザー治療」です。薬物による治療を行っても改善がみられない場合に行うことがあります。鼻の粘膜を焼くことで症状を抑えます。