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2022.11.01

テレビドラマ「silent(サイレント)」に登場した『若年発症型両側性感音難聴』ってどんな病気?

俳優の川口春奈さん、アイドルグループ「Snow Man」の目黒蓮さんが主演のTVドラマ『silent(サイレント)』が爆発的な人気となっています。

劇中では目黒蓮さん演じる佐倉想が「若年発症型両側性感音難聴」という病気を患っていることが判明します。

あまり聞かないこの病気、難病指定を受けている非常に珍しい病気です。

「若年発症型両側性感音難聴」とは?

若年(40歳未満)で発症し、両耳ともに聞こえが悪くなる(難聴)を主な症状とする病気です。

原因不明の感音難聴のうち、両耳に難聴があらわれる疾患は「特発性両側性感音難聴」といいますが、老人性難聴と見分けるために年齢の要件が加えられました。

また、診断には以下の条件を満たす必要があります。

  • 原因となる遺伝子の変異が検査で見つかっている
  • 外傷、薬剤、騒音、ウイルス感染などが原因でない
  • 聞こえの良い方の耳の聴力が500・1000・2000Hzの平均で70dB以上

遺伝子との関連が徐々に分かってきていますが、解明には未だ至っていません。

発症後は症状が進行し、重度の難聴や耳が聞こえなくなる例もあります。

大規模調査の結果、各遺伝子変異による難聴者の割合は、難聴者全体(加齢による難聴は除く)の0.14%~1.9%であることが分かっています。

まだ治療法で未確立であり長期的な療養を必要とする難病であり、病態の解明や治療法の開発が大きな課題となっています。

若年発症型両側性感音難聴の原因は?

ACTG1遺伝子、CDH23遺伝子、COCH遺伝子、KCNQ4遺伝子、TECTA遺伝子、TMPRSS3遺伝子、WFS1遺伝子などの遺伝子の変異が原因であることが明らかになっています。

原因となる遺伝子によって発症年齢や聴こえの影響が生じる周波数に違いがあるとされます。

若年発症型両側性感音難聴の症状は?

40歳未満で発症し、両耳とも難聴が段々と進行します。

複数の原因遺伝子がこれまでに同定されていますが、遺伝子異常に応じて症状が異なる場合もあることが報告されています。

聴力のタイプや進行の速さは原因遺伝子により異なります。

難聴の進行に伴い、耳鳴りやめまいなどを併発する例も多く、日常生活や社会生活に大きな支障をきたすことがあります。

若年発症型両側性感音難聴の治療法は?

現在までのところ、根本的に治す有効な治療法は確立されていません

症状に応じて補聴器や人工内耳を用いて聞こえを補う治療が行われています。

若年発症型両側性感音難聴の検査は?

標準純音聴力検査によってどの音域の音がどの程度聞こえないかを判断します。

また若年発症型両側性感音難聴の原因を調べるために遺伝子検査を行います。

また他の疾患の可能性を除外するために、病歴の問診・血液検査・CT検査などが行われます。

若年発症型両側性感音難聴の注意点は?

両耳とも段々と聞こえにくくなっていると感じた場合、早めに耳鼻咽喉科を受診し、聴力検査を受けてください。

難聴の程度に応じて早期に治療(補聴器や人工内耳)を行うことが望ましいです。

発症が非常にまれで、当院では遺伝子等の精密検査が難しいため、診断が確定する前に大学病院等の医療機関にご紹介させていただくことになります。