サーファーズイヤーの治療を専門に実施している医師の中西 悠です。
サーファーズイヤーの治療や、サーフィン大会で検診をしていて一番良く質問を受けるのは、耳栓の必要性についてです。
今回は、サーフィンに適した耳栓について紹介しながら、自身で使用したレビューを解説します。
耳栓を使うことの利点
1. 外耳道への寒冷水刺激を和らげ、サーファーズイヤー形成予防、進行を防ぐ効果がある。
2. サーファーズイヤー術後の再発予防効果もあると考えられています。
3. 冬期には外耳道が冷やされないことにより、体感的にも暖かく感じる。
4. ビッグウエーブで強烈に巻かれた際などに、鼓膜損傷を防げる可能性が高い。
(パイプラインのような強烈なチューブ波や、ウインドサーフィンでフォワードループを練習するような方は海面に耳を強く叩きつけられて、鼓膜損傷を生じることがあります。)
耳栓を使うことの欠点
1. 聞こえにくくなる。
2. 耳を塞がれることが、わずらわしい。
3. 装用が面倒。
4. 購入しないといけない。失くすとがっかり。
ラインナップしてから、付け忘れているのを忘れて、がっかりする、というのもあります。
「耳栓は、1年中つけないといけないですか?」とよく質問されます。
サーファーズイヤーは基本的に寒冷水、寒冷風により外耳道が刺激されることで形成されると考えられているため、夏に水着でサーフィンできるような暑い時期には、必ずしも必要ではないと考えられます。
これまでに、病院のみならず、サーフィン大会での検診も過去9年間で30イベントを超え、1500人以上のサーファーのお耳を見せていただきました。
経験上、サーファーズイヤーのできやすい方、できにくい方というのもかなり個人差があるようですので、その方のお耳の状態や、サーフィンの頻度によって、アドバイスは変わってきます。
もし外耳道の炎症がある場合には、夏季にも装用したほうが良い場合があります。
日本国内においては、ウエットスーツを着るような時期には耳栓の使用が望ましいという理解でよいかと考えています。
MACK’S EARPLUGS
amazonでは 750円程度 6ペア入り (1組125円)キッズサイズもあり。
メーカーHPでは、シリコン製の耳栓でアメリカで一番売れている商品とのこと。キッズサイズもあります。
メーカー公表では ノイズリダクションレベルは22デシベル。
簡単にいうと、耳栓をつけたときに22デシベル分聞こえにくくなるということ。
イメージ的には耳元で大声で怒鳴られても、この耳栓をしていれば大きな声くらいの音に感じられるということです。公表されているデータでは、2000Hz以上の比較的高い音で、遮音効果が高いとされています。
高音域が聞こえにくくなると、子音(あ、い、う、え、お以外のこと)の区別がつきにくくなるので、その結果、人の話していることがわかりにくい、という印象になります。
使用感:
耳の形に合わせて使用できるので、フィット感がよく、ちゃんと着ければ全く水が入ってきません。
実際に使ってみると、粘着力がありますので、耳の穴と耳介にフィットさせるよう装着すると、サーフィン中に相当ハードは巻かれ方をしても、滅多に外れることはありません。
外れて失くしても、極端に高価でないので、消耗品と割り切って考えやすいかと思います。耳の奥に残ったりすると自分で取り出すのが難しいことがあるので、ちいさく切って使用するのは控えたほうがいいと思います。
粘着力がありますので、耳の穴と耳介にフィットさせるように装着すると、極端なビッグウエーブでない限り、通常のサーフィンで外れることは滅多にありません。
この粘土状タイプの耳栓は各社からいろいろ出ていますが、使用感はどれも似たようなものです。
耐久性は、「失くすまで」あるいは「ビーチで落として砂まみれになるまで」という感じで、1,2回使っただけでは、目立った劣化はなく、10セッション以上使えます。皮脂などつくことがあり、少しずつ汚れてくるので粘着力が弱い感じになってきたら交換という感じです。ビーチに落として、転がったりすると砂まみれになって、除去しにくいので、新しいものに交換が必要になります。ある程度の聴こえにくさがありますが、水が入ってこないようにするシール力とコストパフォーカンスは最高です。
こういうタイプの耳栓で、聴こえのよい素材のものがあればベストかなと思います。
SURF EAR 2
定価6200円
Creature of Leisure (アジア/オーストラリア圏)
音は伝えて、水は入れない。をコンセプトにサーフィン向けに開発された耳栓。
4つのパーツで構成されています。
フィルム状のアコースティック メッシュにより出来る限り音を遮らず、水の侵入を阻止する構造です。
紛失防止のリーシュコードをつけることができます。
2度の世界チャンピオンに輝いたトム キャロルをアンバサダーに迎えて、販促プロモーションも積極的に行っています。
使用感:会話領域の聞こえにくさというものは、ほとんど感じられません。シリコンタイプの耳栓と比較するとややフィット感には劣るので、全く水が入らないというほどシール力は高くないですが、外耳道に水がたまって不快な程ではありません。
2017.11月以降にはジュニアサイズも展開予定。5622円
Docs pro plug
XS-S-M-Lの4サイズ展開
2400円前後
比較的大きな成形タイプの耳栓。大きいぶん、耳の穴に入り込んだりしませんが、フイット感は個人差が大きく、水が入ってくるのを防ぐというコンセプトではありません。
むしろ隙間からゆっくりと水が入ってきて、急激な圧変化を起こさないので、
ネット上のユーザレビューでは、ダイビングの際に耳抜きがしやすいとの意見を多く見かけます。
自身でサーフィン時にテストしてみた結果、外耳道にある程度の量の水がたまり、チャポチャポする感じでした。ダイビングでは問題にならないと思いますが、水が全く入ってこないことを目的としない状況に向いている耳栓かなと思います。
音を通しやすいように外耳道方向に小さな穴が空いています。この小さな穴からゆっくり水が入るので圧変化がゆっくりになって、ダイビング時の耳抜きがしやすいとの記載を見かけますが、その説明が本当なのかよくわかりません。紛失防止のリーシュコード付き。
私の意見では 総評は以下のようになります。
フィット感 水の入りにくさ:Mack’s > Surf Ears 2 > Docs Proplug
音の聞こえやすさ :Surf Ears 2> Mack’s > Docs Proplug
経済性 :Mack’s > Docs Proplug > Surf Ears 2