鼻前庭炎:鼻の入り口のかさぶたと痛みの原因と対処法

鼻の入り口にかさぶたができたり、痛みを感じたりして悩んでいませんか?これは「鼻前庭炎」と呼ばれる症状かもしれません。鼻前庭炎は、鼻の入り口部分(鼻前庭)に起こる炎症で、多くの方が経験する身近な疾患です。本記事では、鼻前庭炎の原因、症状、治療法、そして予防策について詳しく解説します。

鼻前庭炎とは

鼻前庭炎は、鼻の入り口付近の皮膚(鼻前庭)に起こる炎症性疾患です。主に黄色ブドウ球菌などの細菌感染によって引き起こされ、以下のような症状が現れます。

  • 鼻の入り口が赤く腫れる
  • かさぶたができる
  • 痛みや違和感がある
  • 膿が出ることがある
  • 鼻の中が乾燥・ひび割れする

鼻前庭炎の原因

鼻をいじりすぎる

最も一般的な原因の一つが、鼻をいじりすぎることです。指で鼻の中を触ったり、鼻をかむときに強くこすったりすると、鼻前庭の皮膚に傷がつき、そこから細菌が侵入して炎症を起こします。

鼻毛を抜く

鼻毛を抜くと、毛穴に傷がつき、そこから細菌が侵入するリスクが高まります。特に不衛生な状態で鼻毛を抜くと、感染のリスクがさらに高まります。

乾燥

冬場や乾燥した環境では、鼻の中の粘膜も乾燥しやすくなります。乾燥によってひび割れができると、そこから細菌が侵入しやすくなります。

アレルギー性鼻炎

アレルギー性鼻炎があると、頻繁に鼻をかんだり、こすったりすることで、鼻前庭の皮膚に傷がつきやすくなります。

免疫力の低下

風邪やストレス、睡眠不足などで免疫力が低下すると、常在菌が増殖しやすくなり、炎症を起こしやすくなります。

鼻前庭炎の症状

初期症状
  • 鼻の入り口の違和感
  • かゆみ
  • 軽い痛み
  • 赤み
進行した症状
  • 強い痛み
  • 腫れ
  • かさぶた形成
  • 膿の形成
  • 発熱(重症の場合)

鼻前庭炎の治療法

抗生物質の塗り薬

鼻前庭炎の基本的な治療は、抗生物質の塗り薬です。医師の処方に従って、指定された回数と期間、しっかりと塗布することが大切です。

よく処方される塗り薬
  • ムピロシン軟膏
  • ゲンタマイシン軟膏
  • オキシテトラサイクリン・ポリミキシンB硫酸塩軟膏
市販薬での対処

軽度の症状であれば、対処できる可能性はありますが、おすすめできません。お早めに耳鼻科を受診しましょう。

家庭でのケア
  1. 清潔を保つ:清潔な手で鼻を触る
  2. 保湿:鼻の中の乾燥を防ぐために、医師に相談の上、ワセリンなどで保湿する
  3. 鼻をいじらない:かさぶたを無理に剥がさない
  4. 温めタオル:軽く温めたタオルで鼻を温める(膿がある場合は避ける)
  5. 十分な休息と水分摂取

鼻前庭炎が繰り返す理由

鼻前庭炎が繰り返し発症する主な理由には以下のようなものがあります。

  1. 不適切な治療:抗生物質を医師の指示通りに最後まで使用しなかった場合、細菌が完全に排除されず、再発することがあります。
  2. 悪習慣の継続:鼻をいじる習慣や鼻毛を抜く習慣を続けていると、何度も炎症を起こします。
  3. 保菌状態:黄色ブドウ球菌が鼻腔内に常在している場合(保菌者)、再発しやすくなります。
  4. 免疫力の低下:ストレスや疲労、睡眠不足などで免疫力が低下すると、再発しやすくなります。
  5. 基礎疾患:糖尿病などの基礎疾患がある場合、治りにくく再発しやすいことがあります。

鼻前庭炎の予防法

手指の清潔を保つ

鼻を触る前には必ず手を洗い、清潔な状態を保ちましょう。

鼻をいじらない

無意識に鼻をいじる習慣がある場合は、その習慣を改善することが大切です。

鼻毛は抜かない

鼻毛を整えたい場合は、抜くのではなく、専用のハサミやトリマーを使用しましょう。

保湿を心がける

特に乾燥する季節は、医師に相談の上、鼻の中も適切に保湿しましょう。加湿器の使用も効果的です。

健康的な生活習慣

十分な睡眠、バランスの良い食事、適度な運動など、免疫力を高める生活習慣を心がけましょう。

医療機関を受診すべき症状

以下の症状がある場合は、早めに医療機関を受診しましょう:

  • 強い痛みがある
  • 腫れが広がっている
  • 発熱がある
  • 膿が出ている
  • 1週間以上症状が改善しない
  • 繰り返し発症する

まとめ

鼻前庭炎は適切な治療と予防で改善できる疾患です。しかし、自己判断での処置が長引くと、症状が悪化したり、周囲に広がったりする可能性があります。症状が気になる場合は、早めに耳鼻咽喉科を受診することをお勧めします。

特に、鼻をいじらない、鼻毛を抜かない、清潔を保つ、という基本的な習慣を身につけることで、多くの場合、鼻前庭炎の予防につながります。健やかな鼻の健康を保ちましょう。

大阪で耳鼻喉の手術なら老木医院

監修医師

鼻中隔弯曲症の名医・老木浩之

  • 老木 浩之
  • ・耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院 理事長
  • ・日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
  • ・厚生労働省 補聴器適合判定医師
  • ・医学博士

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