老木医院・副院長の田邉 牧人です。
耳鳴りとは、外からの音とは関係なく耳の中で音が鳴って聞こえる感覚のことですが、その原因や仕組みは実はよくわかっていません。
脳梗塞や脳腫瘍など脳の病気との関連を心配される患者さんがおられますが、ほとんどは関係ありません。内耳にある聞こえの神経が弱って難聴になると、それに伴って耳鳴りが気になることがありますので、耳鳴りが発症したときは難聴になっていないか確認したほうがいいでしょう。
音の種類は「キーン、シャー、ザー、ザクザク」などイロイロありますが、音楽などのメロディーが鳴ることはありません。ましてや、人の話し声などの言葉が聞こえてくることはありません。もし、メロディーや言葉が聞こえてくるなら・・・それは心の病かも知れませんので、耳鼻咽喉科ではなく心療内科の受診をお勧めします。
耳鳴りの治療は・・・、原因がよくわかっていないので耳鳴りを小さくしたり、無くすための有効な治療は、現時点では存在しません。では、どうすればいいのでしょうか?
耳鳴り自体が重い病気の心配もなく、有効な治療もないので、耳鳴りをなんとか治そうとは思わず、耳鳴りの音に慣れる方向で、上手く付き合うのが一番楽です(突き放すような表現で申し訳ないのですが)。外からの音が聞こえていると、それにまぎれて耳鳴りの音は慣れやすいため、いろいろな音(や音楽など)を聞きながら、慣れていくTRT療法もあります。
耳鳴りの場合に行う検査
ティンパノグラム
耳の中に空気圧をかけ、鼓膜が正常に振動するかどうか調べる検査です。
聴力検査
耳鳴りがする人の多くは、本人が自覚していなくても難聴をともなっています。「オージオメーター」という機械からいくつかの周波数の音を出し、どの程度聞き取れるかを調べることで、難聴の有無や程度、種類を調べます。
画像診断
耳鳴りは、耳や首の骨の異常で起こることもあるので、骨の異常を調べるときは「X線検査」を行います。