メニエール病はめまいを起こす病気として知られており、最近では元「タッキー&翼」の今井翼さんが発症されたことでも広く知られるようになりました。グルグル回っているように感じる、激しい回転性のめまいを繰り返すことや難聴や耳鳴りを伴い、それらの症状に波があるのが特徴です。
「激しい」めまいとは、半日とか1日以上動けなくなるようなめまいで吐き気や嘔吐を伴うものが典型的なもので、数秒以内に収まるめまいばかりだと激しいめまいとは言いません。ストレスがめまい発作の引き金になることもあります。
めまいの種類に関してはめまいの原因と種類のページをご覧ください。
そんなメニエール病ですが、実はめまいの原因の1,2割程度を占めているとされています。
メニエール病の原因と症状
内耳の一部でリンパ液が過剰になり水ぶくれになる(内リンパ水腫)ために起こるとされていますが、その原因はよくわかっていません。
激しいめまいを発作的に繰り返すことが特徴的な症状です。そのめまいは軽いこともひどいこともあり、それが不定期に訪れます。
また、聴覚をつかさどる「蝸牛(かぎゅう)」という器官に水ぶくれが生じると耳鳴りや難聴が起こったり、改善したりします。長い経過をたどる重症例では、徐々に聴力や平衡感覚が落ちてしまうこともあります。耳の症状は片耳の場合と両耳の場合もあります。
メニエール病を診断するための検査
平衡機能検査
耳鼻科では各種平衡感覚の機能検査があります。重心動揺検査といって直立姿勢での重心の動きを判定する検査もこの1つです。足ふみをしたり、指先で鼻の頭を繰り返し触るような小脳機能の検査などもあります。
眼振検査
めまいの多くの場合は、眼振といって目玉が激しく揺れていることがあります。それを特殊なメガネで観察します。赤外線を使ってみる場合もあります。
聴力検査
メニエール病の診断には必須です。つまり、メニエール病の正確な診断は耳鼻科で受けて頂くのが良いのです。
CT検査とMRI検査
中耳炎や脳の病気が疑われるときに行います。
内科的検査
他の原因を探るため、血液検査や血圧測定なども必要に応じて行います。
メニエール病の治療
有酸素運動
症状が比較的軽い場合には、有酸素運動が有効な場合があります。
薬物療法
内服薬は、多くの種類のものがありますが、代表的な薬としては、メイロン(重曹)があり、これは水薬やゼリー状の薬で、苦いので飲みにくいのですが、有効性は高いです。
他にはビタミン剤や代謝改善剤などの内服薬や種々の薬の点滴を行う場合もあります。一般的な薬で効果が薄い場合には各種漢方薬を試すこともあります。
中耳加圧療法
耳の穴から圧力をかけた空気の振動波を耳に入れるという治療法です。これは従来から他の病気で使われてきた鼓膜マッサージをメニエール病の治療に応用したものです。※当院では行っていない治療法になります。
手術
鼓膜に換気チューブを入れる手術や内耳の水膨れをとる内リンパ嚢開放術などがあります。効果が保障されている治療ではないため、専門の医療機関で慎重に行われています。
発症後の経過
メニエール病を発症した後どうなるかは個人差が非常に大きいため、とても予測が難しいのが実状です。2、3回のめまい発作で治ってしまう人や、そう思っていたら5年後にまた症状が出るなど、人によって千差万別です。ただ、手術に至るほど重症で長引く場合はそう多くはありません。
メニエール病に似ている病気
脳の病気をはじめ、中耳炎や梅毒など、似た症状を起こす病気はたくさんあります。まずは耳の病気がないかどうか、聞こえが正常かどうかなど耳症状の有無が問題となりますので、めまいを感じた場合は耳鼻科を受診しましょう。
最後に
めまいの原因は多岐にわたります。その中で耳鼻科的な病気が原因の場合は6、7割といわれています。つまり、めまいは耳鼻科の病気が一番多いのです。特にメニエール病は難聴などの耳症状が出るのが特徴なので、聴力検査等の耳鼻科的検査が必須です。
そして、あとの3、4割の病気も耳鼻科の病気ではないということを確認して初めて振り分けられることになります。めまいでお悩みの方は、まずは耳鼻科を受診しましょう。