スギ花粉症のシーズンがやってきました。
今回はシーズン中にできるセルフケアと、シーズン中にできる治療法についてご紹介します。
シーズン中に自分でできること
スギ花粉のシーズン中は以下のような方法で自分で対策できます。
身体に入れない
- 午前中や夕方の外出を避ける(花粉が飛散しやすい時間帯)
- マスクをする
- ゴーグルをする
- 鼻の中にクリームを塗って、花粉の侵入を防ぐ
屋内に入れない
- 外出の服装はなるべくツルッとしたものを着る(起毛の生地は花粉が付着しやすい)
- 外出時、帽子をかぶる
- 帰宅時、頭から足首までよく払ってから家に入る(特にすそや足回りは丹念に)
- 以上の外出・帰宅時の注意点を家族全員に徹底する
- 窓や扉の隙間に目地をする
- 空気清浄機を使う
- 部屋(特に居間)は整理整頓し、シンプルな空間に(花粉がたまる場所を減らす)
花粉症シーズン真っただ中の治療
スギ花粉のシーズン中に行える治療です。
標準治療
- 症状を抑える薬(抗ヒスタミン剤)
- 点鼻液
- 点眼液
を使用します
薬の使い方の注意点
花粉症のシーズン中は、規則正しく薬を使うことをお勧めします。
花粉は天候等によって飛散量が大きく左右されます。つまり、日によって症状の強さも変化するのですが、それに合わせて薬を飲んだり、飲まなかったりすることはお勧めできません。
薬には1回飲むだけで出る効果と継続服用をして初めて出てくる効果があります。花粉症のシーズン中は症状に左右されることなく、規則正しい服用をお勧めします。
同じく点鼻液も花粉症のときに効果を発揮するステロイド点鼻液は規則正しく点鼻することが推奨されます。
点鼻薬の使用方法についてはこちらのページをご参考ください。
新薬情報
飲み薬が普段から多い人、薬で胃腸への負担が気になる人には、張り薬があります。1日1回皮膚に張るだけです。皮膚からゆっくり吸収されるので効果が長持ちし、眠気の副作用も内服薬よりは出にくいとされています。
上記の治療でよくならない重症アレルギーの場合
ゾレア®皮下注射という治療法があります。スギ花粉症の時期に限り、月1,2回(体重や検査データで回数が決まります)、薬を注射します。
ゾレア®がスギ花粉症に有効な仕組み
スギ花粉症のアレルギー反応とはどういうものか解説します。
- スギ花粉が体内に入ってくると、スギ花粉だけに反応する抗体が作り出されます。
- その抗体は免疫をつかさどる細胞の表面に付着して、スギ花粉を待ち構えています。
- 細胞表面の抗体にスギ花粉(抗原)が結合すると、その細胞からヒスタミンが放出されます。そのヒスタミンなどが様々なアレルギー症状を起こします。
- その化学物質が鼻水や鼻づまりを起こします。
これまでの薬の場合
抗ヒスタミン薬などの従来の薬はアレルギー症状を起こす化学物質の働きを抑えるという作用でした。つまり、アレルギー反応の最下流で症状をせき止める作用でした。
ゾレア®の場合
一方、ゾレアは抗体と結合することによって細胞表面に抗体が付着するのを防ぎます。
つまり、スギ花粉が入ってきても、細胞表面に抗体が付着していないので、細胞がヒスタミンを放出するという反応が起きないのです。
従来の薬より上流でアレルギー反応を抑えることができるのです。
この薬は高価かつ、重症アレルギーの人にしか使用が認められていません。すべての方が治療対象となるわけではありませんが、標準治療でも楽にならない場合はぜひ一度ご相談ください。
こちらのページにてゾレア®についてより詳しく解説しております。