慢性上咽頭炎の原因・症状と治療法(Bスポット療法)

慢性上咽頭炎

肩こり・頭痛・せき・目まい・全身が痛い…さまざまな症状があるけどけど原因がはっきりしない、検査や治療をしたけど治らない。そんな方はご家族にいらっしゃいませんか?その原因はもしかしたら「慢性上咽頭炎」かもしれません。

あまり聞きなれないこの疾患。鼻の病気なのに肩こりや体が痛いなんて症状が出るなんて不思議に思われる方もいるかもしれません。

慢性上咽頭炎とは?

慢性上咽頭炎とは

のどは上咽頭・中咽頭・下咽頭の三つに分けることができます。このうち、上咽頭とは鼻とのどの間(鼻の奥の突き当たり)をいいます。

上咽頭に炎症が炎が起こります。または、鼻炎や副鼻腔炎による鼻漏が上咽頭に流れることで、上咽頭炎が起こることもあります。

上咽頭炎が治りきらなかった場合や、喫煙・後鼻漏などによる持続的な刺激がある場合に、慢性上咽頭炎となります。

慢性上咽頭炎の症状

その症状は慢性上咽頭炎かも

上咽頭の近くには血管・リンパ管が多く張り巡らされており、炎症が全身へ回りやすいと考えられています。このため以下のような多彩な症状を引き起こします。

  • 鼻とのどの間の痛み
  • 違和感
  • 乾燥感
  • 後鼻漏(鼻の奥からのどに鼻水が下りる)
  • 咳払い
  • 目まい
  • 声が出しにくい
  • 鼻の奥がにおう
  • 首のこり
  • 頭痛・頭重感
  • 倦怠感
  • 全身の痛み

また、急性中耳炎、滲出性中耳炎、耳管狭窄症の原因となることもあります。

急性中耳炎について詳しくはこちらのページへ

滲出性中耳炎について詳しくはこちらのページへ

慢性上咽頭炎の原因

慢性上咽頭炎の原因

上咽頭への細菌やウイルスの感染、体の冷え、疲労、ストレス、空気の乾燥、口呼吸鼻炎や副鼻腔炎に伴う後鼻漏(鼻水がのどにおりてくること)によって上咽頭に炎症が起こり、これが慢性化することによって慢性上咽頭炎が発症する場合があります。

耳鼻科でないと診断が難しい?!

上咽頭炎を疑ったら耳鼻咽喉科へ

上咽頭は口を開けても見えない部分にあり、耳鼻咽喉科で内視鏡検査を行わないと診断が難しいです。

また上咽頭炎では上咽頭粘膜の赤みや荒れで診断がつく場合もありますが、視診上、正常に見えることのほうが多く、耳鼻咽喉科でも判断が難しいとされます。

このため治療をしながら慢性上咽頭炎かどうかの診断を行うことがあります。

慢性上咽頭炎の予防

水分補給で慢性上咽頭炎の予防

慢性上咽頭炎を予防するためには、のどの粘膜の乾き・体の冷えを防ぐことが重要となります。

水分補給

こまめな水分補給を行うことで、のどの粘膜の乾きを防ぎます。カフェインを含むお茶やコーヒーは利尿作用があるため、カフェインを含まないお茶や水が好ましいです。

鼻洗浄(鼻うがい)

上咽頭の粘膜の乾きは水分補給やうがいでは防ぎにくいため、この場合は鼻洗浄が有効です。

運動・睡眠

免疫力の低下は慢性上咽頭炎の発症につながります。適度な運動や十分な睡眠によって免疫力を上昇させることも重要です。

慢性上咽頭炎の治療 EAT(Bスポット療法)

Bスポット療法(EAT療法)

慢性上咽頭炎の治療として当院では、ネブライザー(吸入)治療、鼻洗浄、薬物療法、EAT療法(Bスポット療法)を行っております。

「EAT」上咽頭擦過療法(Bスポット療法)

慢性上咽頭炎の治療は「EAT」(上咽頭擦過療法)といい、以前はBスポット療法と呼ばれていた治療法です。上咽頭に塩化亜鉛などの消炎剤を直接塗布・擦過する治療法です。消炎剤を染み込ませた綿棒を鼻、または口から挿入して上咽頭にこすります。慢性上咽頭炎の場合はこすりつけた際に出血・痛みを生じます。

EATを行う頻度としては、週に2回または1回のペースで数カ月ほど治療を受けていただくのを推奨しています。

EATを受けるにあたっての注意事項

耳、鼻、のど、以外の症状や疾患の場合は耳鼻咽喉科で扱うことがありませんので、慢性上咽頭炎以外の原因があるかどうか鑑別が出来ません。まずは必ず当該科の専門医にご相談ください。その上で治療をしても良くならなかったため、慢性上咽頭炎の可能性を考慮してEATを受けてみたいという場合は、まずは主治医の許可をおとりください。

慢性上咽頭炎の解説動画

映像制作エムスタジオ様で制作された、上咽頭炎に関する解説動画を掲載しております。分かりやすく上咽頭炎について解説されています。

大阪で耳鼻喉の手術なら老木医院

監修医師

  • 老木 浩之
  • ・耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院 理事長
  • ・日本耳鼻咽喉科学会認定専門医
  • ・厚生労働省 補聴器適合判定医師
  • ・医学博士

医師プロフィールはこちら

関連リンク