診療中によくあるご質問やホームページに寄せられた質問をまとめましたのでご覧ください。
ただ、ここをお読みいただく場合には、ご注意いただきたい点が二つあります。
一つは、少しわずらわしいと感じられるかもしれませんが、耳のしくみなど基本的な事項をやはりまずご理解いただいたうえで読んでいただきたいのです。
もう一つは、文章の言葉をしっかり読んでいただきたいと思います。ご自分にとって都合がいいと感じる部分だけが印象に残りがちなことに注意してください。
耳の病気のよくあるご質問
急性中耳炎
2月はじめにインフルエンザにかかったあと、両側の中耳炎となり、1週間以上耳だれが続き、かなり聞こえにくくなっています。難聴になってしまわないか心配なのですが。(34歳 女性)
経過から判断しますと、いわゆるインフルエンザ中耳炎という病気の可能性が高いようです。この病気はインフルエンザや風邪のあとに起こり、なかなか炎症がおさまらず、難聴が強くなるのが特徴です。乳突洞炎といって中耳の奥まで炎症が広がることが多く、感音性難聴といって内耳の炎症もきたします。
CTで精密検査の上、1~2週間程度の点滴が必要となります。きっちりと治療すれば、難聴が残ることはほとんどありません。
この病気かどうかの診断をつけるためにも、早めに耳鼻咽喉科専門医を受診したほうがよさそうです。
4歳の子供が中耳炎を繰り返しており、耳鼻科や小児科で治療を受けています。耳鼻科では抗生物質が出ますが、小児科ではあまり出ません。小児科の先生からは抗生物質は極力飲まないようにいわれます。どちらが正しいのですか。また、中耳炎はやはり耳鼻科でみてもらったほうがいいのでしょうか。(31歳 女性)
中耳炎といっても、炎症が非常に強く耳だれが多量に出ている場合やほんの少し鼓膜が赤くほとんど治りかけている状態など、程度は様々です。ですから一般論として一概にどちらがいいというような判断はできません。 本来、中耳炎や扁桃炎、上気道炎は耳鼻科が専門ですが、小児科を受診される患者さんが多いため、小児科で治療することも多いようです。
中耳炎の治療や合併症の知識と経験が豊富で、耳処置ができる医師なら、小児科医であっても安心して中耳炎の治療を任せられるでしょう。
滲出性中耳炎
4歳の息子が滲出性中耳炎で4ヶ月通院しましたが、治りません。そこではまだ鼻にゴム球をつけて空気を送る治療を続けるとのことです。別の耳鼻科では手術を勧められました。プールも心配です。どうしたらいいでしょうか。(31歳 女性)
滲出性中耳炎は治療経過が長くなることが多いですから、すぐに治らないからといって心配し過ぎないようにしてください。治療はご質問の中にある、通気という治療を繰り返し行うのが一般的ですが、私は小児には通気を一切行わず、自然経過にまかせて治らなければ手術をお勧めしています。
このように治療方針は異なることが多いですから、ご両親が信頼できると感じられる医師の治療を受けるしかないのではないでしょうか。プールをどうするかも医師によって意見が違います。私はお子様がプール好きなら入ってもらうようにしています。
滲出性中耳炎はお母さんの悩みの種になることが多いのですが、一人で悩まず、どんなことも医師に相談してください。
4歳の息子が滲出性中耳炎です。この2ヶ月、ゴム球を使って、鼻から耳に空気を送る通気と鼻のネブライザー治療を続けています。先生のホームページではあまり効果がないとのことですが、本当のところはどうなのでしょうか。(28歳 女性)
最新の情報(世界の医学論文)から判断しますと、小児の滲出性中耳炎は頻繁に通院して耳管通気をしたり、鼓膜切開をしてもほとんど治療効果はないとされています。このように耳管通気は世界的には治療効果がないとされ、諸外国ではほとんど行われておらず、日本独自の治療として残っているものです。しかし、伝統的な治療法で、治療効果があると根強く信じている医師も多く、現在でも我が国では一般的な治療法なのです。 ですから、耳管通気を必要のない治療法と主張すると、多くの耳鼻科医からは反発されるでしょう。結局、私は欧米の評価の高い論文の成果を信じた治療方針をとっており、我が国で通気治療をなさっている先生方は伝統的な治療を経験に基づいて行っておられるとしか言いようがないのです。
事実、私は小児の耳管通気は一切行わず、鼓膜の状態が悪化しないかどうか、聴力はどうかということを最初の数カ月は観察するだけです。これで、滲出性中耳炎の治癒率は従来の頻繁に受診し、通気を行うことと全く変わりません。面倒な通院が減るので、労力とお金の節約になります。
ですから、私からしますと、いいこと尽くめなのですが、世の中そう簡単にことが運ぶわけではありません。まわりの開業医がどこも耳管通気をするので、お母さん方にもこの治療法が半ば常識化しているのです。ですから、耳管通気をしないと逆に不信感をもたれることもめずらしいことではありません。「先生、耳管通気はしていただけないのですか」と尋ねられます。そこではあまり他院の治療をけなすことになっては問題ですので、「通気は必要ないと思いますけれど」と曖昧な返事にならざるを得ないのです。
慢性中耳炎
15年程前に左中耳炎の手術を受けました。しばらくはずっと調子がよかったのですが、5・6年前から耳だれを繰り返すようになり、聴力もかなり悪くなってきました。近くの耳鼻科には通院していますが、耳だれがすっきりと止まりません。よい方法はないでしょうか。(67歳 男性)
手術を受けた後に再び中耳炎が再燃しているようです。以前の中耳炎の手術の具合にも大きく左右されますが、手術後の中耳炎は通院治療では治りにくいことが多いのです。それは手術のときに削った奥の方で炎症がおこっているため、外来ではそれほど奥まで処置ができないためです。このような状態の場合には、再手術で炎症を取り除くとすっきりと治り、耳だれを止めることができます。
もちろん、再手術で耳だれが止まるかどうかは人によって違いますし、聴力が戻るかどうかも耳の状態によってかなり違ってきます。一度、中耳炎手術の専門医療機関でご相談されることをお勧めいたします。
何年も前から鼓膜に穴があいており、時々、耳だれがでます。その都度、2・3週間、耳鼻科通いをするのですが、耳だれはとても憂鬱なものです。何とか完全に治す方法はないのでしょうか。(34歳 男性)
症状からはまず間違いなく慢性中耳炎という状態のようです。
慢性中耳炎では、中耳腔という骨で囲まれた、複雑な形をした空洞に、膿がたまったり、肉芽(にくげ)といってぶよぶよした、粘膜のはれたようなかたまりができてしまいます。肉芽が拡がってしまうと、それを手術で取り除かない限り、炎症を繰り返すのです。肉芽ができていなくても鼓膜に大きな穴がある場合には炎症を繰り返します。手術をして奥の肉芽を取り除き、鼓膜の穴を閉じると、慢性中耳炎の多くは治ります。
また、当初は耳だれが短期間の治療で止まっていても、だんだんと治りにくくなってくる場合があります。それは徐々に奥の炎症が拡がったり、薬が効きにくいバイ菌に変わってくるためです。やはりそのようになる前に手術を受ける方がすっきりと治る確率は高くなります。ぜひ手術をご検討されることをお薦めいたします。
近くの耳鼻科で真珠腫との診断を受けました。手術が必要とのことですが、本当に手術が必要なのでしょうか。(52歳 女性)
真珠腫とは慢性中耳炎の一種なのですが、普通の中耳炎よりもやっかいな性質を持っています。周囲の骨をとかしながら炎症が拡がるのです。ですから真珠腫が進行すると、めまいがしたり、難聴がひどくなったり、髄膜炎といって脳をおおっている膜が炎症を起こし、命にかかわることさえあります。ときには顔面神経麻痺がおこることもあります。
炎症の拡がるスピードは人によっても違いますから、何年も病状が進行しない場合もありますが、バイ菌の炎症をきっかけに真珠腫の拡がるスピードが一気に速くなる場合もあります。やはり、早めに手術を受ける決断をしていただきたいものです。
なお、「この手術が必要かどうか」といったご質問を受けることがよくあります。真珠腫の場合、この病気を治したり、他の合併症を未然に防ぐためには、手術は必要です。但し、この手術があなたに必要かどうかはご自身でご判断頂くしかありません。
それは、結局は個人個人の価値観の問題だからです。この病気を治すためには手術が必要でも、手術を受けるくらいなら死んだ方がましという価値観をお持ちの方には必要ないと判断されてもしようがありません。 医療とはすべからくそういう性質を持っていますから、最終的な決断はもちろんのこと、必要かどうかの判断も患者さんご本人にゆだねられているのです。
例えば、風邪で耳鼻科を受診した場合、「風邪薬をお出ししておきますね」と私がいった場合、患者さんから「その薬は必要ですか」と訊かれると、「飲んだほうが早く楽になると思いますよ」としかいえません。必要とも不要とも言えません。例えば、頭痛の患者さんに「念のためCTを撮りましょう」といって、「その検査は絶対に必要なのですか」といわれれば、「絶対に必要というわけではない」つまり、「No」という答えになるのです。
また、例えば、早期胃癌と診断を受けて、手術を勧められたとして、「手術が必要ですか」と尋ねられれば、胃癌を高い確率で治すためにはなるべく早く手術をすることが望ましいというのが最も正確な答えです。医療行為の結果には絶対に不確実性が伴いますし、患者さんのあらゆる個人的事情が絡んできますから、必要かどうかをこのような場合も言い切ることは医師にはできません。
つまり、繰り返しになりますが、医療の現場ではどのようなシチュエーションでも、必要かどうかの判断を医療者側に託すのは不適当のように感じます。
最近、別の症状で耳鼻科を受診したところ、鼓膜の穴を指摘されました。別に聞こえの悪さもありません。手術をする必要があるでしょうか。(27歳 男性)
鼓膜の穴の大きさや炎症の程度にもよりますが、鼓膜の穴をふさぐためには何らかの手術が必要なことはまず間違いありません。
さて、鼓膜の穴をふさぐ意味は3つあります。
1つは穴を閉じると聴力がアップします。しかし、これはあなたの場合は当てはまりませんね。聞こえが悪くないとのことですから、小さめの穴なのでしょうね。
2つめは鼓膜の穴を閉じて、耳の穴からバイ菌が入るのを防ぐ目的があります。鼓膜に穴がなくても中耳炎はおこりますが、穴がある方が格段に炎症を起こす確率が増えます。
3つめは生活上の制限を取り除くことができる点です。例えば、鼓膜に穴があいていると、プールや海に行くのはやはりためらわれるのではないでしょうか。特にダイビングなどは危険を伴うことさえあるかもしれません。鼓膜の穴を閉じるとそのような場面で全く憂いがなくなるのです。
以上の点をご勘案いただき、手術が必要かどうかをご判断下さい。
一度でるとかなり頑固な耳だれがあり、ここ数年は少し聞こえにくい感じもあります。通院先では何度か手術を勧められましたが、踏み切れません。手術をしないで過ごすことはできますか。(42歳 女性)
中耳炎の程度は徐々に進行しているように見受けられ、その点が心配です。私としましては、やはり勇気を持って手術を受けることをご決断頂きたいのですが、手術というと誰しもためらいますし、他にも仕事や家庭の事情もおありでしょう。お仕事やご家庭の事情は私にはわかりませんので、医学的に選択枝を分析してみましょう。
まず、手術を受けていただいた場合、最良の結果は、耳だれがなくなり、聴力がよくなり、中耳炎が完全に治ってしまうことです。このような最良の結果が見込まれる確率は中耳炎の程度や種類によって大きく変わるのですが、おおざっぱに40%~95%くらいと考えていいと思います。また手術を選択して最悪の結果は、鼓膜の穴が治らず(おこる確率は1%程度)、耳漏が続き(やはり1・2%程度)、顔面神経麻痺(確率は0.2%位か)が残ることです。もっと最悪の結果は手術中、麻酔の事故などで死亡すること(確率は0.00X%位でしょう)です。確率的には非常に低いとはいえ、やはり手術に危険性はつきものです。手術を受けるということはそれらのリスクを背負うことにほかなりません。
一方、手術を受けない場合、最良の結果は、おそらく現状維持で、ときに耳だれがで、やや聞こえにくい感じが続くということでしょう。この現状維持の確率は炎症の程度にも大きく左右されるのですが、5~15%といったところではないでしょうか。もちろん、真珠腫というタイプの慢性中耳炎ではこのような楽観的な数字は決して出せません。そして最悪の結果は、中耳炎がどんどん進行し、ひどい難聴になったり(確率は数%~20%位か)、めまいが起こったり(確率はやはり数%程度)、髄膜炎(0.X%といったところでしょうか)、顔面神経麻痺(0.00X%位)などがありえます。もちろんやはり最悪の結果は髄膜炎や脳膿瘍で死に至る(0.00X%くらいかな)ことです。
手術を受ける場合と受けない場合のそれぞれの、最も確率的に期待できる中間の事象を考えると、手術を受けた場合、聴力がまあまあ良くなり、耳漏もほぼ止まることが期待できます。一方、手術を受けない場合、徐々に耳漏が止まりにくくなり、難聴も年々進行していくものの、めまいや髄膜炎はおこらない、けれども耳鼻科受診が欠かせない、といったような状況が見込まれます。
以上の点から、医学的にだけ判断すると、手術を受けた方が得なように私には思えます。しかし、他にも冒頭で書きましたように、仕事、家庭の事情や費用など、様々な要素を加味した上で、ご判断頂くことになります。
数年前から耳だれを繰り返すため、勤務先の近くの病院を受診したところ、中耳炎なので手術が必要といわれました。そこでの手術がほとんど決まりかけていたとき、自宅から近所の耳鼻科医院に念のため相談に行きました。そこでは手術を勧めるほど炎症がひどくないこと、手術には顔面神経痛や脳の障害など、危険性が高いとの説明を受けました。どうしたらいいのか悩んでいます。(50歳 男性)
まず、中耳炎の治療に限らず、ごく一般論からお話したいと思います。複数の医師から治療方針について話を聞く場合、誰もが、より楽な、ためらいのない治療法に流れがちになります。これはおそらく私とて同じです。ある病院で、手術が必要といわれ、他の病院では手術は必要ないといわれたら、その方が絶対に嬉しいです。安易にその治療法にすがってしまいがちです。もちろん、本当にどちらがいいかはケースバイケースですし、それこそ客観的な判定も難しい場合はあります。
しかし、どちらにしても治療法選択の場合、はじめから手術という選択枝は、絶対的に不利な立場、つまり最も選ばれにくい立場にあるのです。そのことは常に念頭に置いて、選択を誤ることのないよう注意が必要です。中耳炎の手術に限ったことではありませんが、私も今まで、どれほど「あぁ~あ、手術をしたらすぐに楽になるのに・・・」と思った患者さんが多かったかしれません。
次に今回ご質問の具体的ケースについてですが、近所の耳鼻科医のご意見には理解しにくいところが多いのです。まず、「手術を勧めるほど炎症がひどくない」とはどういう意味なのか不明です。慢性中耳炎は外来での治療では完治がまず望めない病気です。ですから慢性中耳炎は、特殊な例を除いて、そのほとんどが手術の対象となるのです。炎症の程度で手術の要不要が決まるわけではありません。また、危険性が高いというのは、あなたの聞き間違いかもしれませんね。
前出のご質問でもお答えしましたように、中耳炎の手術は決して危険性が高くはありません。技術的には簡単なものではなく、豊富な経験と熟練が必要ですが、身体に対する負担が少なく、安全性の高い手術なのです。
ときとして医師の中には、危険性をいたずらに強調し、中耳炎を手術でよくするという機会を患者様から結果的に奪っている場合があるように思えてなりません。今回のご相談のケースがそれに該当するかどうかは不明ですが、手術について複数の医師から意見を聞かれる場合には、手術を行っている医療機関でお尋ねいただくほうがいいかもしれませんね。
左右とも慢性中耳炎で、聞こえにくさがひどくなってきているので、仕事にも不便を感じています。手術をするとどの程度聞こえるようになるのでしょうか。(33歳 男性)
これは具体的にお答えするのは大変難しいご質問です。やはり少しでも正確にお答えするには、どのようなタイプの中耳炎か、どの程度の炎症か、現在の純音聴力検査のデータはどうか、などが必要です。もちろん、実際に診察して各種データが揃っても、あくまでも手術の結果は見込みでしかありません。手術後、かなり良くなることが見込めるのか、いまよりは少しは良くなる可能性が高いのか、聴力が良くなる見込みは低くても炎症を抑えるために手術をするのか、など、おおざっぱな見込みしかお話しすることができません。
それはやはり手術は顕微鏡の下で、極めて微細な操作を行うのであり、結果の予測が立てにくいのです。また、手術中にしかわからない炎症の変化が多いこともその一因となっています。例えば、音を伝える骨、耳小骨が炎症で一部分溶けていることがよくあるのですが、どの部分がどの程度、なくなっているかによって術後の聴力の結果が大きく違ってきます。
また、手術後は中耳の状態は徐々に変化しますから、術後1年くらいは聴力が変動すると考えておいたほうが無難です。ですから、手術直後には聴力が良くなくても徐々に良くなる場合などもあります。
左右とも慢性中耳炎で、聞こえにくさがひどくなってきているので、仕事にも不便を感じています。手術をするとどの程度聞こえるようになるのでしょうか。(33歳 男性)
これは具体的にお答えするのは大変難しいご質問です。やはり少しでも正確にお答えするには、どのようなタイプの中耳炎か、どの程度の炎症か、現在の純音聴力検査のデータはどうか、などが必要です。もちろん、実際に診察して各種データが揃っても、あくまでも手術の結果は見込みでしかありません。手術後、かなり良くなることが見込めるのか、いまよりは少しは良くなる可能性が高いのか、聴力が良くなる見込みは低くても炎症を抑えるために手術をするのか、など、おおざっぱな見込みしかお話しすることができません。
それはやはり手術は顕微鏡の下で、極めて微細な操作を行うのであり、結果の予測が立てにくいのです。また、手術中にしかわからない炎症の変化が多いこともその一因となっています。例えば、音を伝える骨、耳小骨が炎症で一部分溶けていることがよくあるのですが、どの部分がどの程度、なくなっているかによって術後の聴力の結果が大きく違ってきます。
また、手術後は中耳の状態は徐々に変化しますから、術後1年くらいは聴力が変動すると考えておいたほうが無難です。ですから、手術直後には聴力が良くなくても徐々に良くなる場合などもあります。
以前から耳鼻科を受診するたびに鼓膜に穴があるといわれています。手術で閉じるようにいわれましたが、別に何も困るような症状はありません。治療する必要があるのでしょうか。(43歳 男性)
鼓膜に穴があいたままで一番困る症状は耳だれを繰り返すことと難聴です。ご質問の方は特に気になる症状がないとのことですから、鼓膜の穴があまり大きくなく、奥の炎症も鎮静化している状態のようです。このままずっと安定していればいいのですが、今後症状が出ない保証はありません。鼓膜の穴からバイ菌が入って耳だれを繰り返すような中耳炎になったり、聞こえにくくなる可能性もあります。
また、頭を洗うときやプールに入るときにやはり気になってしまうのではないでしょうか。あまり症状のない安定した状態のときに手術を受けるほうが術後の経過もいいようです。1泊2日程度の入院ですから、早めの手術を考えてみてください。
数ヶ月前から右耳の耳だれがでており、週に3、4回は通院していたのですが、完全には止まりません。耳の中がジクジクしてうっとうしいのです。よい方法はありませんか。(38歳 女性)
耳だれの大きな原因としては外耳炎と中耳炎が挙げられます。外耳炎の耳だれが頑固になるのは外耳湿疹を併発していたり、カビが炎症の原因になっている場合があります。中耳炎でもカビや難治性のバイ菌の場合に耳だれが長引きますが、どこから耳だれがでているかがより大きなポイントです。
鼓膜表面に肉芽という炎症の元になるものがあると頑固な耳だれを繰り返します。この場合は外来で肉芽を取り除くと短期間で治ります。鼓膜の穴から耳だれが出ている場合には、中耳炎の程度にもよりますが、外来の処置では治らない場合もあり、手術を考慮いただくほうが早道かもしれません。
いずれの場合でも原因をしっかりと突き止め、炎症の起こっている部位をCT検査などで正確に把握することが治療の第1歩です。
中耳炎手術・入院
手術中や手術後はかなり痛いのでしょうか。心配です。(22歳 女性)
まず、手術中の痛みについてですが、中耳炎の手術は全身麻酔でも、局所麻酔でもできます。全身麻酔では手術中の痛みは全く感じません。局所麻酔では最初に打つ麻酔の注射の痛みが避けられません。手術中にも痛みを感じる場合は、麻酔の注射を追加する場合があります。他にも局所麻酔では手術中、体を動かさないように気を付けなければならないなど、結構苦痛があります。安全性の面では今や全身麻酔のほうが安全ということができます。しかし、中耳炎の場合は手術中に聴力の具合を患者さんに確認できるという利点もあります。
次に、手術後の痛みですが、それほどきつくない痛みと言っていいように思います。全く痛みがないということはありませんが、手術後何割かの方が痛み止めを使用し、それでおさまる程度の痛みのようです。
手術に危険性はありませんか。どの程度、安全性の高い手術なのでしょうか。(41歳 男性)
手術はどんなに小さな手術であっても必ずある種の危険性を伴います。その種類や程度は手術によって様々ですし、患者さんがかかっておられる他の病気や体質などにも大きく影響されます。
中耳炎の手術に特徴的な危険性としては、内耳障害、顔面神経麻痺、頭蓋内合併症等が挙げられますが、いずれもおこる確率は非常に低いものです。手術自体は全身に対する影響は少なく、命にかかわる危険性というものはほとんどありません。
しかし、麻酔に関しては、全身麻酔にしろ局所麻酔にしろ、重大な合併症がおこる危険性があります。命にかかわるような重篤なものは数万人に一人以下の低い確率ですが、存在します。患者さんが持っておられる持病などが大きく影響し、心臓病、高血圧、喘息、あるいは脳内の血管異常などが原因になることが多いといわれています。
手術は、その結果の不確実性や手術を受ける場合の危険性がありますから、手術を受ける受けないの最終決断は患者さんご本人にゆだねられるのです。ご参考として、当院の中耳炎手術(鼓室形成術)の手術承諾書を公開いたします。
入院は何日くらいかかりますか。退院後、通院はどれくらい必要ですか。(35歳 女性)
同じ中耳炎でも炎症の範囲などによって、かなり手術が違ったものになります。ですからその手術の違いによって入院期間は左右されます。ごく一般的には現在、我が国の病院では3・4週間の入院になることが多いのではないでしょうか。経過が良好なら退院後は1・2週間に1度くらいの通院となります。
さて、当院では1泊から3泊の入院で中耳炎患者さんは退院となります。その後の通院は、退院後1週間は4・5日の通院、2・3週間目は週に2・3回、4週目以降はやはり1・2週間に1度の通院となります。もちろん術後経過によってはかなり通院回数は変わってきます。
費用はいくらくらいかかりますか。(62歳 女性)
現在、病院で3・4週間の入院となりますと、25万~35万円の自己負担となるのではないでしょうか。当院では、13万~17万円くらいの自己負担額となります。
中耳炎手術(当院のシステムについて)
1泊や2・3泊程度の入院で大丈夫でしょうか。普通、慢性中耳炎の手術ではほぼ1ヶ月の入院が必要とききましたが・・・。(31歳 男性)
中耳炎の手術は手術と共に術後の処置も重要ですから、その処置をきっちり行うためにかなり長期の入院が必要とされてきました。当院で3泊以内という短期間入院が実現できている理由は3つあります。
1つは、高い技術と経験に裏打ちされた手術の完成度の高さにあります。手術の出来、不出来が術後のトラブルの多さに影響することはいうまでもありません。
2つめは、術後の処置そのものは外来でも十分に対応可能な処置なのです。あと必要なことは術後、適切な安静度を守ることにあります。当院では、術後の安静を病院の管理下で行うのではなく、発想をかえて、ほんのちょっとの自己責任で管理していただくことにより、入院期間の短縮という、非常に手術を受けて頂きやすい治療計画が実現できました。
3つめは、病院や医師側の都合の話になるのですが、手術後の処置は手術を執刀した医師が行うのが原則です。そうでなければ責任ある処置は出来ず、患者さんには大変な迷惑をおかけすることになります。病院の勤務医は、毎日外来にでているわけではありませんから、退院後の患者さんの処置を週に何度も一人の医師が行うことはシステム上不可能なのです。ですから、医師の都合のよい時間にいつでも処置が出来る入院患者さんでいていただく必要があるのです。当院では、二人の医師が責任を持って、手術と外来での術後処置を毎日、行えるので、短期入院が可能となっています。
広島から手術を受けさせて頂きたく、参りたいと思っています。退院後の治療はどのようにすればいいのでしょうか。(42歳 女性)
当院での手術のご相談と同時に、地元での処置の受け入れ先の段取りも必要となります。通院可能なところに当院と関連のある病院、医院があれば、ご紹介させていただきます。そのような医療機関がない場合には、近くの耳鼻科に、当院での手術後の処置をしていただく約束をとりつける必要があります。その場合には当院から術後処置依頼の紹介状を出させていただきます。
もう1つの方法は、術後、当院に近いホテルや旅館に1・2週間、宿泊していただくという方法も可能ですが、負担が大きくなりますから現実的ではないかもしれません。
外耳
耳の前に小さな穴があり、ときどきジクジクと汁が出て、くさいにおいもします。痛みはないのですが、うっとうしいので何とかしたいのですが・・・。(34歳 女性)
先天性耳瘻孔といって、耳の前の小さな穴は奥に皮膚が入り込んで管状になったものなので、自然には治りません。細菌感染をおこすと激しい痛みや腫れとなり、炎症を繰り返すと皮膚が黒ずんで、目立ちます。ご質問の方はきつい炎症はないようですが、軽い症状でも気になるようなら手術で摘出するのが早道です。2・30分程度の手術で摘出することができます。傷はほとんど目立ちませんし、痛みや危険性の心配もまずありません。
この病気に限らず、顔や首の腫れ物、病気は耳鼻科が専門ですから、首から上の病気でどこを受診したらよいのか迷う場合にはまず耳鼻科でご相談いただくことをお勧めいたします。
めまい
数年前に突然、グルグルまわるようなめまいがあり、吐き気やふらつきがでました。1・2週間ほどで治りましたが、近くの内科医院でメニエール病と診断されました。それから年に1・2回ほど、めまいがでるようになり、不安です。完全に直す方法はありませんか。(58歳 女性)
めまいの原因の半分以上は内耳が原因です。その内耳が原因のめまいで代表的な病気がメニエール病ですから、耳鼻科の検査なしに正確な診断はつきません。ですから、まず耳鼻科で診察と聴力検査などの検査を受けることをお勧めします。しかし、残念ながら、診断がついても根本的な治療法がない場合も少なくありません。
そのような場合はめまいと気長につき合っていくという気構えが必要になってきます。しかし、普段からあまりめまいを恐がらず、意識しないことも大切な対処方法です。ストレスや気苦労がめまいの引き金になることもあるからです。めまいは脳の病気や内科の病気でもおこることがありますが、まず、めまいの総合的な窓口になるのは耳鼻科です。
鼻の病気のよくあるご質問
副鼻腔炎
数年前から蓄膿といわれていますが、鼻づまりや鼻水など、特に気になるような症状はありません。ただ最近、においが分かりにくくなってきました。このような症状は治療したら治るのでしょうか。(32歳 女性)
においが分かりにくくなることを嗅覚障害(きゅうかくしょうがい)といいます。まずその原因を探ることが大切です。ご質問の方は蓄膿(副鼻腔炎)の診断を受けておられるようですから、鼻茸が原因になっているのかもしれません。鼻の中でにおいを感じるのは一番奥のほんの一部分の粘膜だけなのです。
ですから自覚症状として鼻づまりがなくてもその部分への通り道がふさがれている場合には嗅覚障害になります。鼻茸が原因の場合、かなり億の鼻たけが嗅覚障害の原因となりますので、従来は手術でも切除が難しいところでした。 しかし、最近では、鼻内内視鏡手術によって奥の鼻茸も安全に切除できるようになりました。長年に渡る嗅覚障害でも治るケースが増えてきています。一度、耳鼻科でご相談下さい。
数年前に蓄膿の治療を受けていましたが、とても忙しく通院できませんでした。最近、一方の鼻は常につまっていて、息苦しい感じもあります。治るでしょうか。(37歳 男性)
鼻づまりの原因にはいろいろな要素があります。鼻の粘膜が慢性的にはれていたり、鼻中隔弯曲症といって、左右の鼻の仕切りの軟骨が一方に曲がるためにおこる鼻づまりもよくあります。 また、ご質問の方は蓄膿との診断ですから、鼻たけという炎症性のポリープが鼻の中で大きくなっている可能性もあります。 以上でおわかりのように、長く続く頑固な鼻づまりは、一時的な粘膜のハレではありませんから、薬はあまり効きません。それぞれの状態に応じた手術を受けることが楽になる早道ではないでしょうか。蓄膿の場合でも、最近は鼻内内視鏡手術といって、歯ぐきを切開することなく、鼻の穴から安全に手術ができるようになっています。手術が可能な耳鼻咽喉科で一度、ご相談ください。
小児副鼻腔炎
小児の副鼻腔炎ではレントゲンの検査は意味がないのですか。(30歳 女性)
小児では大人と違って、副鼻腔の状態が鼻内の状態に反映されやすいのです。ですから、青バナがたくさんでていれば副鼻腔炎になっていると判断して間違いありません。
また、小児では大人よりも容易に副鼻腔炎になり、よく副鼻腔炎を繰り返します。大人のようにレントゲンできれいになっていることを確認するメリットはあまりありません。
子供の蓄膿症で、かなり長く薬が出ます。症状がなければ、薬は飲まなくていいですか。(32歳 女性) お母さんが気付く症状がなくても、鼻の奥で青バナがたまっていることが多いのです。薬の服用を中断するかどうかはできるだけ受診のときに医師に確認して下さい。
6歳の男児で、ここ1年以上、青ばなを繰り返しています。蓄膿というと、手術が必要という、恐いイメージがあり心配です。(31歳 女性)
小児の副鼻腔炎は9割以上、外来の治療で治ります。大きくなっても治らず、手術が必要になる場合でも骨の成長が止まる高校生以上に行われます。稀に鼻茸といって鼻内にポリープができる場合があり、小児でも手術になることがあります。
3歳、男児で、青バナが出ています。どれくらいで治りますか。(26歳 女性)
炎症の強さ、アレルギー性鼻炎があるかどうか、季節など、様々な要素がありますので、はっきりとはお答えできないご質問です。
薬だけではなかなか治らず、こまめに通院して処置をしないといけない場合もあります。短い場合には4・5日くらいで治りますが、寒い季節で、アレルギー性鼻炎も持っているような場合には、2・3カ月くらいかかる場合もあります。
私は長く通院いただくのが申し訳なくてしかたがないのですが、なんとかご理解いただき、お子様のために頑張って通院いただければと願っております。
花粉症(アレルギー性鼻炎)
くしゃみ、鼻水、鼻づまりが年々ひどくなり、アレルギー性鼻炎といわれています。最近は点鼻液でも鼻づまりがとれません。何とか楽になりたいのですが・・・。(34歳 女性)
アレルギー性鼻炎が長年あると徐々に鼻粘膜が分厚くなり、薬でもなかなか鼻づまりがすっきりしません。このように鼻の粘膜が分厚くなったままの状態のことを肥厚性鼻炎といいます。
近年、この鼻づまりに対して手軽な手術療法が開発されました。鼻粘膜焼灼術といって、高周波メス(電気メスの一種)やレーザーで粘膜表層を焼くという治療法です。この治療法ははれた粘膜を焼いて減量するというものですから、鼻づまりに直接、効果があり、くしゃみや鼻水もかなり軽くなります。痛みも出血も少なく、外来でできますから、とても患者さんに喜んでいただける治療法です。
長年の鼻づまりでお悩みの方は一度、耳鼻咽喉科で是非ご相談下さい。
毎年、花粉症の季節になると、鼻づまりが強く、薬もほとんど効果がありません。なんとかならないでしょうか。症状が出る前にできることはやっておきたいのです。(32歳 男性)
スギ花粉は2月下旬から本格的に飛び始めます。今年のスギ花粉の飛散量は例年よりもかなり少ないといわれていますが、あくまでも予測ですから今のうちにしっかりと対策を立てておきましょう。鼻づまりがあまり強くなく、くしゃみ・鼻水の症状でお困りの方には、予防的な服薬をお勧めします。
花粉の飛散前から飲み始めるとかなり症状を軽くする効果があります。2月上旬からでも間に合います。鼻づまりが強い方には、鼻粘膜焼灼術といって、高周波メスやレーザーで粘膜を焼灼し、はれにくくする方法が有効です。これは外来で手軽にできますが、花粉飛散の前、1月下旬から2月上旬に受けるのが効果的です。
スギ花粉症で薬をのんでおり、なんとか症状はおさまってます。薬はいつ頃まで飲めばよいのでしょうか。(29歳 男性)
テレビなどの花粉情報で花粉が飛んでいないことを確認してから服用を中止するのがよいでしょう。しかし、スギ花粉症がある場合にはヒノキ花粉に対してもアレルギーがあることが多いですから、まずはきっちりとヒノキ花粉症があるかどうかを知ることが大切です。
一応の目安としては、例年、4月上旬で症状がおさまるようならスギだけ、5月上旬まで続く場合にはヒノキ花粉症もあるということになります。ただ、原因となる花粉は年を追うごとに増える場合がありますから、去年までの症状は参考にならないこともありますので、やはりきっちりと血液検査で確かめるほうが無難です。
もう1つの目安は症状の過敏度です。ほんの少しの花粉でも症状が出る場合には耳鼻科医院などで花粉が飛んでいないかどうか確認の上、薬の内服をとめるのがよいと思います。今はまだスギ花粉症は最盛期です。もうしばらく気を抜かずにがんばってください。
また、最近は小さなお子様でも花粉症がずいぶんと増えています。お子様は自分の判断で治療を受けられませんから、症状がありそうなら、ぜひ耳鼻科につれてきてあげてください。
毎年、花粉症で苦しんでいます。薬局で何種類も薬を試しましたが、眠くて仕事にならないので、ひたすら耐え忍んでいます。なにかいい方法はないでしょうか。(36歳 男性)
医師の処方を経ずに薬局で購入できる薬は比較的古くに開発された成分から作られています。一方、医師が処方できる薬は新しく眠気の少ない成分で作られたものがどんどん開発されているのです。ですから、医療機関を受診して相談されると、かなり楽に過ごせる可能性はあると思います。
やはり、鼻の粘膜の状態がチェックでき、いろいろな薬の使い分けやほかの治療法も知っている耳鼻咽喉科でご相談いただくのが一番いいと思います。ほかにも耳鼻咽喉科では外来での簡単な手術で鼻づまりをとる方法もあります。しかも健康保険で薬の負担金はかなり減らせるはずです。
医療機関を受診するのは待ち時間など、かなり面倒というお気持ちはよくわかるのですが、何とか都合をつけて、受診していただくことをお勧めします。
毎年、スギ花粉症でつらい思いをしています。少しでも楽になるような予防策を教えてください。(37歳 男性)
最近普及してきた予防法として、花粉症のシーズン前に薬を飲み始めるという方法があります。抗アレルギー薬というアレルギーを起こりにくくする薬を、花粉が飛び始める3、4週間前から服薬するのが理想的です。遅くとも2月はじめには飲み始めるほうがいいでしょう。
また、症状として頑固な鼻づまりが続くとか、薬を飲みつづけることに抵抗のある人には、高周波メスやレーザーを用いた鼻粘膜焼灼術があります。これは鼻粘膜をはれにくくし、アレルギー反応もある程度低下させるので、鼻づまりのきつい方にはお勧めです。外来で短時間にできますが、粘膜の状態が落ち着くまでは3、4週間かかりますからやはり2月上旬までには受けておく必要があります。
今年のスギ花粉はかなり大量に、しかも例年より早く飛散すると予測されています。お早めに耳鼻咽喉科でご相談ください。
アレルギー性鼻炎に関して詳しくはこちらのページをご覧ください。
喉(のど)の病気のよくあるご質問
扁桃炎
7才の息子です。39度以上の発熱とのどの痛みがかなり頻繁にあります。最近、耳鼻科を受診し、扁桃腺の手術を勧められましたが、かかりつけの小児科では、手術は必要ないといわれました。どうしたらいいでしょうか。(29歳 女性)
めまいの原因の半分以上は内耳が原因です。その内耳が原因のめまいで代表的な病気がメニエル病ですから、耳鼻科の検査なしに正確な診断はつきません。ですから、まず耳鼻科で診察と聴力検査などの検査を受けることをお勧めします。しかし、残念ながら、診断がついても根本的な治療法がない場合も少なくありません。
そのような場合はめまいと気長につき合っていくという気構えが必要になってきます。しかし、普段からあまりめまいを恐がらず、意識しないことも大切な対処方法です。ストレスや気苦労がめまいの引き金になることもあるからです。めまいは脳の病気や内科の病気でもおこることがありますが、まず、めまいの総合的な窓口になるのは耳鼻科です。
喉頭
数年前から声がかすれはじめ、徐々にひどくなってきました。最近は声が長く続かず、息苦しく感じることもあります。耳鼻科でのどを診てもらうのが恐く、受診していません。どうすればいいでしょうか。(52歳 女性)
声はのどの奥の声帯というところで作られています。声のかすれはやはり声帯にポリープなどの病気がある可能性が高いと思います。また、息苦しさもあるとのことですので、かなりポリープが大きくなっているのかもしれません。 もちろん、声のかすれは、喉頭ガンが原因であったり、甲状腺癌による神経麻痺や声帯萎縮という年齢変化が原因のこともあります。ずっと不安を抱えてお過ごしになるよりも、思い切って耳鼻科を受診して頂ければと思います。のどの診察はせいぜい十数秒程度ですからアッという間に終わります。
治療は原因によって異なりますが、ポリープなどができている場合には手術ということになります。良性のものであれば、手術は全身麻酔下で10分程度です。
アデノイド
3歳の息子のいびきが大きく、最近は起きている時でも口をポカーンと開けていることが多いです。耳鼻科を受診したところ、アデノイドが大きいので手術が 必要といわれました。こんな小さい子に手術なんてかわいそうです。手術以外の方法はありませんか。(31歳 女性)
アデノイドは3~5才くらいで大きくなるものなので、その年齢帯ではよく行われる手術です。麻酔は現在、ほとんどの場合、全身麻酔で行われます。その理由は全身麻酔のほうがきっちりと止血もできて安全だからです。手術は口や鼻からの操作になりますので、体の表面に傷が残ることはありません。
後遺症はほとんど心配ありませんが、出血、創部の炎症、一時的な開鼻声などがおこることが稀にあります。お子さまに重大な持病がない限り、99%以上、なんの危険性もない、安全な手術といえます。
私達、耳鼻科医にとっては、ごく少ない危険性を理由に、お子さまの鼻づまりやイビキがよくなる機会をうばうことのほうが残念に、また、かわいそうに思えることが多いのです。